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低燃費でかしこい節約暮し3 |
オイル選びの実際 そろそろ本題に入りましょう。 オイルを選ぶ基準は、APIやCCMCによるグレード表示、SAE粘度、そして成分の3つがあります。
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●グレード オイルのグレード表示として広く使われているのが、米国石油協会の定めるAPI規格です。
ガソリンエンジン用にはSA、SB、SC、SD、SE、SF、SG、SH、SJ、SLの10ランクあり、
現在一般量販店で売られているのはSF以上となっています。 SH、SJ、SLクラスで、さらにILSACという別の団体が行う省燃費テストをクリアしたオイルは、
それぞれGF-1、GF-2、GF-3というグレード名が併記されます。 ただしSH・GF-1は、SJ・GF-2の登場に伴って廃止されています。
同様にディーゼルエンジン用はCA、CB、CC、CD、CE、CF-4の6ランクあり、現在手に入るのはCC以上。
ディーゼル専用タイプとガソリン/ディーゼル兼用タイプがあり、 兼用タイプはSG/CEというように両方のグレードが併記されています。
最近併記する製品が増えて来たヨーロッパの規格であるCCMCとACEAは、 CCMCのG4はAPIのSG、G5はSH、ACEAのA3はSJ、SLに相当すると考えていいでしょう。
具体的な選び方ですが、今ではほとんどのオイルがSH、SJ、SLに対応しており、
SFやSGに比べて取り立てて高価ということもなくなりました。 どんなシンプルなエンジンでもハイグレードなオイルを入れるに越したことはありませんから、
迷わずSH以上を選びましょう。 実は、SGまでは自己認証制度がとられていて、
メーカーが独自にテストして基準をクリアしていればグレードを表示することができました。
そのため、実際には基準に達していない製品が出回り、 それが問題になってEOLCSという機関が実際にテストを行って承認を出す
SHグレードが制定されたという経緯があります。 そんなオイルはとっくに淘汰されたと思いますが、
自己認証のシステム自体は変わっていないので、SH以上の方が間違いがないわけです。
●粘度 オイル缶に書かれている10W-30とか20W-50といった数字が、 オイルの粘度を表す数字として世界的に使われているSAE表示です。
最初の数字はオイルが冷えているときの粘度で、 主に始動性や暖機性、燃費に影響し、
後ろの数字はオイルが暖まっているときの粘度で、 主に高温時の潤滑性やエンジン保護性、密封性に影響します。
一概には言えませんが、例えば10W-30と20W-50を比較した場合、 10W-30は厳寒期にも始動性がよく、エンジンが軽く回って燃費もいい反面、
真夏のハイパワーエンジンでは粘度が低下して油膜切れを起こすことがあります。
一方の20W-50は、真夏の過酷な状況下でもしっかりと潤滑性を維持してくれる反面、
冬場にはエンジンの回りが重く、始動性や燃費が落ちる傾向にあります。 それほどシビアに考える必要はなく、10W-30か10W-40あたりで1年を通して使うことができますが、
例えば寒冷地に住んでいる、冬場にスキーに出かけるといった場合は、 冬前に5W-30に変えると始動性や燃費が少なからず上がりますし、
逆に、高性能エンジンを積んだスポーツカーや、よくサーキット走行会に行くようなクルマは、
20W-50にすれば安心して攻められます。 また、低粘度オイルの高温域での不安と、高粘度オイルの低温流動性の不足を、
化学合成油にすることでカバーするという方法もあります。 外気温、使用条件、エンジンの種類を考え合わせながら、いろいろ試してみて下さい。
こんなところで悩むのも、オイル交換の楽しみだと思うのですが、皆さんはどうでしょう?
●成分 同じSJグレードなら、成分が違っても性能は同じと考えている方もいると思いますが、
SJの基準を超えた部分では、鉱物油よりも半化学合成油の方が、 半化学合成油よりも100%化学合成油の方がはるかに高い性能を持っています。
よく「ごく普通のエンジンを積んだファミリーカークラスだと、 化学合成オイルを入れても意味がない」などと言われますが、
化学合成油は、高負荷時の油膜保持性能だけでなく、 低温時の始動性から省燃費性、パーツの耐摩耗性や冷却性、
エンジン内の汚れ防止などなど、鉱物油に対してあらゆる面で勝っており、 あえてデメリットをあげるなら”高価”なだけです。
どんなシンプルなエンジンに入れても損になることはありません。 鉱物油だから何かトラブルが出るというようなことはありませんが、
予算が許すならば、鉱物油よりも半化学合成油か化学合成油をおすすめします。
今のSL規格は、高品質な鉱物油なら十分クリアできるレベルにありますが、 この先エンジンの進化に伴ってAPIの規格が上がっていくと、
そのうち化学合成油でしかクリアできなくなるかもしれません。低燃費グッズを導入することによって燃費向上する方法もひとつの方法です。とくにオイル周りには効果が表れます。摩擦抵抗が低減することによる効果は振動面でも静かになります。
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